ポリフェノール摂取のコツ お茶・コーヒーでこまめに抗酸化で病気予防/大豆製品にもたっぷり
2017/9/23付
日経電子版 ヘルスup健康づくりより参照
(PIXTA)
強い抗酸化作用で注目を集めるポリフェノール。赤ワインやカカオに限らず、身近な食べ物から摂取できる。種類と特徴、効率的な取り方を知って、健康の維持に活用しよう。
ポリフェノールは植物に多く含まれる成分の総称で、抗酸化ビタミンの一種だ。「動脈硬化や糖尿病、高血圧など、体が活性酸素で酸化されて起きる病気を防ぐ働きを持つ『抗酸化ビタミン』の中でも、ポリフェノールには非常に強い抗酸化作用があるとわかっている」と品川イーストワンメディカルクリニック(東京・港)の板倉弘重理事長は話す。
ポリフェノールは植物が外敵から身を守るために作られる成分で、虫や鳥がかんで嫌がるような苦みや渋みが特徴。例えば「カテキン」や「アントシアニン」といったポリフェノールを多く含むぶどうの皮や種をすり潰して作る赤ワインは、含有量が豊富だ。
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チョコレートやココアに含まれる「カカオポリフェノール」をはじめ、ポリフェノールの種類は非常に多い。タマネギやブロッコリーなどの野菜に多い「ケルセチン」、カレーのスパイスの黄色い成分「クルクミン」など、名前はそれぞれ異なるが全てポリフェノールだ。
その種類は5千以上とも言われる。「例えば緑茶に多く含まれるポリフェノール『カテキン』の場合、構造のわずかな違いでエピカテキン、エピガロカテキンなど別名になる」(板倉理事長)。
種類によって、期待できる抗酸化作用は様々だ。「大豆に含まれる大豆ポリフェノールは、更年期障害の症状を軽くしたり、骨を丈夫にしたりする。ブルーベリーなどベリー類に多いアントシアニンは視力改善に効果的」と板倉理事長。
1日にコーヒーを2杯以上飲む人は、飲まない人と比べ皮膚のシミを抑制したという研究結果もあるという。コーヒーに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」の働きだ。
どうすればポリフェノールを効果的に摂取できるか。「ポリフェノールは摂取後約2時間で抗酸化作用が高まり、4時間ほどで消えるので、こまめに取るのが効果的」と医学博士で東洋大学ライフイノベーション研究所(群馬県板倉町)の近藤和雄所長は話す。
人はポリフェノールの約8割を水分から、残りを食べ物から摂取しているという。「緑茶やコーヒーに多いので、10時や15時の“お茶の時間”は非常に良い習慣」と近藤所長。
目安として「1日に1000ミリグラム程度のポリフェノールを摂取すれば効果がある」(近藤所長)。コーヒーなら5杯、緑茶なら10杯程度に含まれる量に相当する。3度の食事の合間に、飲み物から取るようにすると効率的だ。
板倉理事長も「ポリフェノールの作用は種類によって異なるが、合わせて計1000ミリグラムほど取れば、抗酸化作用として効果がある」と話す。
ポリフェノールは大豆にも多く含まれている。「日本人は意識しないうちに、豆腐や納豆、味噌、しょうゆなどからポリフェノールをたっぷり取っている」と近藤所長は指摘する。
野菜からポリフェノールを摂る場合、生で食べるのが一番効果的だ。ただ生野菜を大量に食べるのは難しいので、野菜のゆで汁やだし汁を活用しよう。例えばたまねぎのポリフェノールは皮に多いので、皮ごとスープに使うのもよい。
ただしポリフェノールを単独で摂取しても健康にはなれない。「他の栄養素と一緒に取ることではじめて、体に酸化物が入るのを防ぐ」と板倉理事長は話す。上手に摂取して、サビのない体づくりを目指そう。
(ライター 巴 康子)